不動産売却時の確定申告が必要なケースとは?注意点や必要書類
公開:2024.06.26 更新:2024.06.26不動産売却後に確定申告が必要なのは、売却益が発生した場合です。この利益は譲渡所得と呼ばれ、申告分離課税に分類されます。利益が出なかった場合は申告不要ですが、損益通算する場合は申告が必要です。
申告方法には税務署窓口、郵送、e-Taxがあり、期限内に行わないと無申告加算税が課されます。納税額を抑える特例もあります。
目次
不動産売却後は確定申告が必要?
確定申告とは、1年間の所得に基づく納税額を計算し、申告・納税を行う手続きのことです。こちらでは、静岡県で不動産売却をご検討中の方のために、不動産売却後に確定申告が必要なケースと不要なケースをご説明いたします。
◇必要なケース
不動産の売却後に確定申告が必要になるのは、利益が発生した場合です。不動産売却によって得た利益を譲渡所得といい、申告分離課税に分類され、総合課税である給与所得や事業所得などとは別に税額を計算します。
◇不要なケース
不動産を売却して利益が出なかった場合は、基本的に確定申告を行う必要はありません。ただし、他の所得と損益通算ができる損益通算や譲渡損失の特例を適用する場合は、確定申告が必要です。
不動産売却時の確定申告の手順とは?
確定申告は、翌年の2月16日から3月15日の間に行います。確定申告を申告期限までに行うためには、不動産売却時の確定申告の手順を確認し、余裕を持って準備することが大切です。
◇必要書類を用意
不動産売却時の確定申告には、多くの書類が必要です。税務署で入手するものや、自分で用意するものがあります。詳しくは次項でご紹介いたします。
◇譲渡所得税を計算
売却で得た譲渡所得をもとに、譲渡所得税を行います。利用できる特例があれば、納税額を安くすることが可能です。
◇確定申告書の作成
不動産売却の確定申告では、「申告書B(第一表・第二表)」と「第三表(分離課税用)」が必要です。申告書の作成で分からないことは、管轄の税務署に質問できます。
◇税務署に申告
申告方法は、「税務署窓口へ持参する」「郵送する」「e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用する」の3つの方法があります。申告期限を過ぎると無申告加算税が課せられるため、注意が必要です。
◇納税または還付を受ける
確定申告で納税が必要な場合は、申告期間中(2月16日~3月15日)に税務署か金融機関で納税します。還付金は、申告した振込口座に4月上旬から5月ごろに入金されます。
不動産売却時の確定申告に必要な書類
画像出典:フォトAC
不動産売却時の確定申告をする際は、確定申告書の他に、本人確認書類、登記事項証明書など複数の書類が必要です。書類に不備が生じないように、書類の種類だけでなく入手方法を確認しておくことも大切です。
◇確定申告書B様式(第一表)
所得の種類に関係なく、確定申告(青色申告)が行える申告書です。税務署や市役所で入手するか、国税庁のHPからダウンロードします。
◇確定申告書第三表(分離課税用)
不動産所得を記入するための申告書です。確定申告書B様式(第一表)と同様に、税務署や市役所で入手するか、国税庁のHPからダウンロードします。
◇本人確認書類
確定申告を行う際には、マイナンバーの記載と共に、本人確認書類(免許証、保険証、住民票など)が必要です。インターネット(e-Tax)で申告する場合は、本人確認書類の提示や写しの添付は必要ありません。
◇登記事項証明書
不動産の所有者や、担保などの登記記録が記載された書類です。法務局で、土地や建物の所在地、地番などを記入した登記事項証明書交付請求書を法務局の窓口で提出すると入手できます。
◇譲渡所得の内訳書
売却による譲渡所得金額の詳細を記載し、譲渡所得金額の計算するための用紙です。税務署での入手、もしくは国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
◇取得費用が確認できる領収書の写し
不動産購入時にかかった取得費用の領収書の写しのことです。具体的には、不動産購入金額、仲介手数料、印紙税、登記費用などの領収書の写しなどが挙げられます。
◇譲渡費用が確認できる領収書の写し
不動産売却時にかかった譲渡費用の領収書の写しのことです。具体的には、仲介手数料、登記費用などで、譲渡費用をしっかり計上することで、課税額を抑えられます。
◇不動産購入時の売買契約書の写し
不動産購入時に、仲介した不動産会社が作成した書類の写しです。紛失した場合は、売主や仲介業者から写しを入手します。
◇不動産売却時の売買契約書の写し
不動産購入時と同様、仲介した不動産会社が作成した書類の写しです。売却した不動産の価格を証明するために必要です。紛失した場合は、買主や仲介業者から写しを入手します。
◇源泉徴収
申告書に記入する金額を確認するために、使用します。2019年分までは自営業以外の給与所得者は、確定申告時に源泉徴収票の原本が必要でしたが、2020年分以降は添付する必要はありません。
不動産売却時の確定申告の注意点とは?
期限内に確定申告を行うために、期限を確認し、書類不備は申告漏れがないよう余裕を持って準備しましょう。納税額を安くするためには、適用できる特例をチェックすることも重要なポイントです。
◇期限を忘れない
確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日までです。期限を超過すると、延滞税が発生する可能性があります。郵送で書類を提出する場合は、期限を過ぎてしまう可能性があるため、余裕を持って投函することが大事です。
◇適用できる特例をチェック
不動産は高額なため納税額も高くなる傾向にありますが、特例を適用することで安く抑えることが可能です。不動産売却で適用できる特例には、マイホームを売った場合の3,000万円特別控除の特例、10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例などがあります。特例には適用要件があるため、事前に確認が必要です。
◇書類不備や申告漏れ
不動産売却後の確定申告には、不動産や税法に関する専門知識が必要です。税法や制度は変更されることもあるため、書類不備や申告漏れが生じることがよくあります。
意図的ではなくても、書類不備や申告漏れがあれば、ペナルティの対象になります。税務署や各地の確定申告会場で担当者のアドバイスを仰ぐことも可能ですが、税理士に依頼するのも選択肢のひとつです。
不動産売却後に確定申告が必要なケースは、売却益が発生した場合です。この利益は譲渡所得と呼ばれ、申告分離課税に分類されます。一方、利益が出なかった場合は確定申告の必要はありませんが、損益通算をする場合は申告が必要です。
確定申告は翌年の2月16日から3月15日に行い、多くの書類が必要です。具体的には、確定申告書、本人確認書類、登記事項証明書、譲渡所得の内訳書、取得費用や譲渡費用の領収書の写し、売買契約書の写しなどが必要です。
申告方法には、税務署窓口への持参、郵送、e-Taxの利用があり、期限内に行わないと無申告加算税が課されます。納税額を抑えるためには特例の適用が重要です。期限を守り、書類不備がないよう準備をしましょう。