不動産売却の手順を知ろう!手続きで注意する点と確定申告を解説
公開:2024.02.29 更新:2024.03.11不動産売却は、市場相場の把握から始まり、適切な不動産業者の選定、価格査定、媒介契約締結という一連のステップを踏みます。売却が決定すると、売買契約の締結、決済、そして物件の引き渡しと進みます。この過程では、仲介手数料、税金などの費用が発生し、売却益が出た場合には確定申告が必要になります。損失が出た場合も、税金節約のための確定申告が推奨されます。物件の特性や所有者のニーズに合った不動産業者を慎重に選ぶことが、スムーズな売却プロセスの鍵となります。
目次
不動産売却の手順をあらかじめ理解しよう
不動産売却には多くの手続きがあり、様々な書類を用意しなければなりません。各手順に時間がかかれば、不動産売却完了までの期間も長くなってしまいます。基本知識として不動産売却の手順を知っておきましょう。
◇相場の確認と不動産業者との契約
不動産を売却する際に、知り合いや友人、親族などへ直接販売することもできます。しかし、より多くの買い手を探したい場合は、不動産会社と売却契約を結ぶのが一般的です。
不動産業者に直接連絡をし、「不動産を売却したい」という旨の相談を行います。この際、対面で対話しましょう。不動産売却においては、会社の雰囲気や担当者の対応なども考慮すべき重要な要素となるからです。
相談の際に、必要な書類を事前に用意しておくとより相談をスムーズに進められます。以下の書類を持参するとよいでしょう。
・所有不動産の物件概要書
・登記事項証明書
・固定資産税納税通知書
・間取り図や敷地測量図
相談後、不動産の売却価格を決めるために価格査定が行われます。価格査定は、不動産が市場でどれだけの価値があるかを判断するための調査です。机上査定と訪問査定の2種類があります。より精密に価値を算出するためには、担当者が物件を直接チェックする訪問査定が不可欠です。
売却を依頼する不動産業者を決定したら、その業者との間で媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却成立時の報酬や売却活動の方針を取り決める契約です。媒介契約の種類としては、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3つがあり、それぞれ特徴があります。
自身の売却理由や状況に応じて、最適な契約の種類を選択します。契約内容が決まったら、署名・捺印を行い、媒介契約が締結するという流れです。
なお、媒介契約時には、自身が把握している不動産の状況をまとめ、「物件周辺状況等報告書」として提出します。建物の欠陥や不具合、付帯設備に関する情報は「付帯設備表」に明記する点に注意が必要です。
◇売却活動および売買契約の締結
媒介契約を結んで不動産業者に売却の仲介を依頼したのち、不動産が売却活動を開始します。不動産会社は相場や査定額を考慮して売り出し価格を決定し、広告や販促活動を行う工程です。興味を持った人からの問い合わせに応じて、物件の案内・説明を行います。内覧後、購入意思のある人から購入申し込みを受けます。なお、専属専任媒介契約の場合、不動産業者は定期的に売主に売却活動の報告を行わなければなりません。
売主と買主が合意したら、不動産業者が買主側の住宅ローン事前審査や物件の最終調査を行います。この調査で問題がなければ、不動産売買契約の締結という流れです。一般的は、売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者の四者が、売主側仲介業者のオフィスにて売買契約を行います。
契約前には売主の必要書類を準備し、宅地建物取引士の同席下で契約書の重要事項説明が必須です。売買契約書に署名・押印を行い、本人確認が完了すれば手付金の授受が行われます。契約後、適切な印紙が貼られた契約書を売主と買主がそれぞれ持ち帰ります。不動産の権利証がない場合は、決済ができないため事前に探し出しておきましょう。紛失していた場合は、司法書士に本人確認情報の作成を依頼することも可能ですが、5万円から10万円程度の費用がかかります。
◇引き渡しと決済の完了
物件の引き渡しと決済は、売買契約で合意された特定の日時に行われます。売主、買主、不動産業者、そして金融機関の担当者が一堂に会して行われる決済が完了したら、同じ日に不動産の場所に足を運び、物件の引き渡しを実施するという流れです。
この際、買主から売却価格の代金を受け取るだけでなく、売主が抱える住宅ローンがあれば同時に金融機関に返済を行われます。また、不動産会社への仲介手数料、司法書士への登記費用なども支払われ、これにより決済が完了します。
不動産売却に関して知っておきたい重要な点
不動産売却は、手間がかかるだけでなく一定の費用も時間も要します。これらの点についても知っておきましょう。
◇不動産売却にかかる費用や税負担を確認
不動産を売却する際には、さまざまな費用と税金がかかります。具体的な費用としては、仲介手数料、収入印紙代、抵当権抹消費用、土地の測量費、建物の解体費、ハウスクリーニング費、引っ越し費用、そして必要書類の取得費があります。これらは主に8つの項目に分かれています。
不動産を売却すると同時に、以下の税金が発生します。
・印紙税
・譲渡所得税
・住民税
・復興特別所得税
・登録免許税
高額で売却するほど税金も増えるため、不動産売却を検討する際には、どの時点でどの費用や税金が発生するのかを把握しておくことが重要です。
◇売却完了までの期限を想定する
物件を所有している場合、いつ売却するかは重要な判断が求められます。不動産の価格は固定されておらず、売却のタイミングによって利益や損失が左右されるからです。そのため、所有者であれば将来的な売却を考え、いつが最も適切な「売り時」なのかを見極める必要があります。
売却の際には、様々な要素を考慮して総合的に最適なタイミングを見極めることが重要です。まず、相場の動向や物件の築年数が大きな影響を与えます。また、税金や住宅ローン金利も検討すべき要素であり、これらが有利な状況であれば売却を検討することが賢明です。季節やライフスタイルも考慮すべき要素であり、これらが売却に適した状況であるかどうかを確認することが不可欠です。
将来的な売却を見据え、これらの指標を踏まえた総合的な検討を行うことで、最良の売り時を見逃さずに物件を売却できます。したがって、物件所有者は早い段階から「売るとしたら、いつが良いか」についての想定をしておくことが重要です。
◇相談する不動産業者を比較して決める
不動産業者は規模や実績において異なります。スムーズな取引を進めるためには、自身の物件の特徴と一致する実績を持つ不動産業者を選ぶことが重要です。
全国ネットワークを持つ企業と地域に特化した不動産会社がありますが、それぞれの長所は異なります。地域に強い会社はその地域の市場動向や需要に詳しく、一方で全国ネットワークを持つ企業は広範な買い手層にアクセスできるといった点がメリットです。
静岡県の不動産を売却するなら、静岡県の地域ニーズやエリア状況を熟知している地元の不動産へ依頼するのも手です。物件の立地や需要に基づいて、最適な地域性やネットワークを有する不動産業者を選びましょう。
また、不動産市場や法律の変更に適応できる専門知識を持っているかも重要です。このような不動産会社であれば、最適かつ円滑な売却が期待できます。
不動産売却後は確定申告の要否も確認
不動産売却で得た利益は「所得」となるため、所得税の対象となります。そのため、売却した年度の末には確定申告が必要です。
◇売却益が出たら確定申告をして納税するのが基本
不動産を売却して譲渡所得が発生した場合、基本的には確定申告が必要です。確定申告を怠ると、追徴課税や加算税、延滞税などが発生する可能性があります。売却益が出た場合は、忘れずに確定申告を行いましょう。
◇売却損が出ても確定申告をした方が良い場合もある
所有期間が5年を超える国内の住宅を売却した場合、損失が発生しても確定申告を行うことで税金の節約になる場合があります。損益通算や繰越控除の特例が適用されると、損失金額を翌年以降3年間にわたって他の所得と通算できるようになるからです。
また、マイホーム買換えに伴う譲渡損失にも特例があり、新しい住宅の取得や特定の条件を満たす場合には、損益通算や繰越控除が認められます。
◇3,000万円特別控除の特例で税負担を軽減できる
特定の条件を満たす不動産の売却に際しては、譲渡益の特例が適用されることがあります。この特例では、マイホームの売却に関する譲渡所得から最大で3,000万円までの控除が可能です。
ただし、その年の譲渡所得が3,000万円未満である場合には、その年の譲渡所得の金額までの範囲でしか控除が認められません。例えば、譲渡所得が1,500万円の場合は、控除額も1,500万円に限られます。
不動産売却は複雑なプロセスで、多くの手続きと書類が必要です。まず、市場の相場を理解し、契約を結ぶ不動産業者を選定することから始めます。不動産業者への相談に際しては、物件の詳細情報を含む必要書類を準備しておきましょう。価格査定を受けたのち、適切な不動産業者と媒介契約を締結すると、売却活動が開始するという流れです。売却が決まれば、売買契約を締結し、必要書類を準備します。売買契約締結後は、決済と物件の引き渡しを行います。
不動産売却には仲介手数料や税金など複数の費用がかかり、売却益があれば確定申告が必要です。また、売却損が出た場合も、税金の節約のために確定申告を検討することがあります。最適な不動産業者の選定も重要で、自身が要望したい部分に応じて選びましょう。