不動産売却時に注意すべきチラシの記載とは?
公開:2024.07.22 更新:2024.07.22不動産会社は不動産売却時、両手仲介や費用対効果を狙って、広告としてチラシを配布します。ただし、買主向けのチラシには規制があり、詳細情報の提供が必須です。
チラシには高すぎる売却価格や架空の購入希望者が記載されることがあり、慎重な確認が必要です。また、「完全」「最高」などの誤認させる用語や事実のない割引価格の記載は禁止されています。
目次
不動産売却のチラシには規制がある
不動産関連のチラシには売主向けと買主向けの2つの種類があります。よく折り込みチラシなどでポストに入っているという方も多いかもしれません。
実はこういった不動産売却に関するチラシには、規制が設けられています。しかし、規制が設けられているのは買主向けのチラシのみで、売主向けのチラシには規制は設けられていません。
買主向けのチラシ
情報不足や誤認を防ぐため、宅地建物取引業法と不当景品類及び不当表示防止法で厳しい規制が設けられています。定められているのは、駅から物件までの所要時間・価格の記載方法・文字の大きさです。
また、2022年9月1日には、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)と表示規約施行規約が改正され、より規約が強化されました。強化されたのは、アクセスの正確な所要時間・物件から最寄り駅・商業施設までの道路距離や所要時間などの記載です。
さらに乗り換え・待ち時間の情報も記載する必要があるため、買主はより正確な情報を得られます。
売主向けのチラシ
規制がないため買主向けのチラシほど信憑性が高くないチラシも存在します。そのため、不動産会社への確認が重要です。これから静岡県で不動産売却を検討している方も、不動産売却に関するチラシについて覚えておきましょう。
不動産会社がチラシを配る理由とは?
不動産会社がチラシを配布するのには理由があります。
◇両手仲介
まずひとつ目の理由が、両手仲介を狙っているからです。仲介売却には片手仲介と両手仲介があります。両手仲介とは、売主と買主両方の仲介に入って仲介手数料を双方から受け取る方法です。
仲介手数料には上限があり、売買価格×3%+6万円+消費税が上限と定められていますが、両手仲介であれば、仲介手数料を上限額まで売主と買主双方から受け取れます。そのため、不動産会社では、チラシを配って顧客リストを増やし、両手仲介をしやすくしているのが特徴です。
◇費用対効果
不動産売却と賃貸では、不動産会社が受け取る仲介手数料は異なります。
賃貸物件を1件成約しても不動産会社が得られる仲介手数料は家賃の半月から1ヶ月分程度です。それに比べて売却の場合は1件の成約で、売買価格×3%+6万円+消費税分の仲介手数料を受け取れます。
このように費用対効果が高いのも、チラシを配っている理由のひとつです。
◇交渉のしやすさ
不動産売却を促すのにも効果的なチラシ配布ですが、ポスト投函することで所有者に直接アプローチできます。
近年では、不動産売却などの広告は紙媒体よりもインターネットで掲載するケースが多くなりました。しかし、インターネットで特定のターゲット層への交渉はなかなか難しいものです。チラシ配布であれば、所有者にアピールできるほか、広告にかかるコストを削減できます。
不動産売却時に注意すべきチラシの記載を紹介
不動産売却に関するチラシで注意すべき点は次の3つです。
◇高すぎる売却価格
チラシの中には、高過ぎる売却価格を記載しているものがあります。築年数や購入価格に対して見合っていない価格を記載している場合は誇張表現の可能性があるため、注意が必要です。
また、チラシには高過ぎる売却価格を記載していなくても査定段階で高額な価格を提示する不動産会社もいます。提示された査定額を鵜呑みにせず、必ず自分で相場を調べてから売却するようにしましょう。
◇購入希望者の存在
不動産会社でよくある集客方法が「購入希望者がいます」や「今なら売れます」などの謳い文句で売り出す方法です。中には本当に購入者がいるケースもありますが、架空の購入者の可能性もあり、実際に相談に行くと契約を促してくるケースもあります。
また、こういった不動産会社は安く買い叩かれる可能性もあるため、注意が必要です。
◇限定的なエリアや売却期間
チラシの中には「◯◯区の◯◯マンションにお住まいの方」などエリアや売却期間が限定されていたり「◯◯日までの限定買取価格」と記載されていたりする場合があります。
中には物件を希望している方の氏名まで記載しているケースもあり、これも不動産会社の営業手法のため騙されないようにするのが重要です。
不動産売却時のチラシに書いてはいけないこと
画像出典:フォトAC
不動産売却時にチラシに記載する際に使用してはいけない用語があります。買主に不利になったり、誤認させてしまったりするような用語は避けなければなりません。
例えば、「完全」「完璧」「絶対」など欠点が一切ないことを意味する用語や「最高級」「最高」など最上級を意味する用語は、証明するのが難しい上に誤認させてしまうような用語にあたります。
他にも「No.1」「日本一」「日本初」など優位性を意味する用語、「特撰」「厳選など一定の基準より選別されたことを表す表現もNGです。選別した事実がない、または裏付けるものがない場合は違反となってしまいます。ただし、優位性を意味する用語は、事実が実証されている場合は使用が可能です。
また、事実のない割引価格を記載するのも禁止されています。これは二重価格表示にあたるため、比較対照価格が架空のものではない場合や明確な根拠がある場合は記載しても問題ありません。
不動産会社は両手仲介や費用対効果のためにチラシを配布し、所有者に直接アプローチします。ただし買主向けの不動産売却チラシには規制があり、詳細な情報提供が求められます。
チラシには高すぎる売却価格や架空の購入希望者の記載がある場合があり、このようなケースでは慎重な確認が必要です。また、「完全」「最高」など誤認させる用語は、不動産売却に関するチラシでは使用できません。事実のない割引価格の記載も禁止されているため、しっかりと信頼性を確認することが重要です。