生前贈与された不動産は売却すべき?売却時にかかる税金
公開:2024.09.24 更新:2024.09.24譲渡所得は不動産売却の利益で、譲渡収入から取得費や譲渡費用、特別控除を引いた額です。所有期間が5年超の場合、税率が低くなり、長期間保有することで税負担が軽減されます。また、生前贈与で取得した土地の取得費はゼロにならず、贈与者の購入費用が引き継がれます。売却時にはこれらの要素を理解することが重要です。
目次
生前贈与された不動産はどうするべき?
家屋を生前贈与された場合、居住用として利用するのがシンプルな選択です。土地を贈与された際は、賃貸住宅や駐車場として収益化できますが、初期費用が必要です。利用予定がない場合は放置せず、固定資産税を考慮して早めに売却するのも一つの手段です。
◇自分や家族が利用する
家屋を生前贈与として譲り受けた場合、最もシンプルな選択肢はそのまま居住用として引き継ぎ、自分や家族が利用することです。もし既に持ち家を所有している場合は、別の利用方法を考える必要があります。
しかし、持ち家がない場合は、居住用として引き継ぐことで、税金などのコストを除けば特に大きなデメリットはありません。
◇活用して収益化する
土地を生前贈与された場合、その土地を活用して賃貸住宅を建てたり、駐車場として利用したりすることで収益を生み出すことができます。しかし、賃貸住宅を建設や駐車場を運営するためには、初期の準備費用が必要となります。
◇そのまま放置する
利用予定が特にない場合、具体的な活用方法が決まるまで土地をそのまま放置するのも一つの選択肢です。しかし、土地を所有し続けると、固定資産税や都市計画税といった維持管理コストが発生します。そのため、放置しすぎると損失が大きくなる可能性があることを理解しておく必要があります。
◇売却する
利用予定が特にない場合、不動産を売却するのも良い選択肢です。利用目的がないまま所有していると、維持管理コストがかかるだけで、メリットはありません。売却すれば、まとまったお金を得ることができます。また、維持管理コストを考慮すると、早めに売却する方が賢明です。
生前贈与された不動産を売却すべきケース
不動産を放置すると固定資産税などの負担が大きく、維持が難しい場合は早めの売却が勧められます。また、活用が難しい土地や、将来の相続税支払いに不安がある場合も売却を検討しましょう。遺産分割の際にトラブルを避けるため、現金化しておくことが望ましいです。
◇維持管理が難しい場合
利用目的がなく不動産をただ所有している場合でも、毎年数十万円の固定資産税などの負担があります。この税金の支払いが経済的に厳しいと感じるなら、早めに売却を検討することが重要です。維持管理が難しくなる前に、適切な判断をすることが求められます。
◇活用が難しい土地などだった場合
生前贈与で譲り受けた不動産が、必ずしも土地活用に適しているわけではありません。例えば、土地が三角形の形状であったり、敷地内に傾斜や段差があったりすると、活用が難しくなります。また、過疎地や駅から遠いなどの立地条件が悪い場合も、土地の活用が困難です。このような不動産を受け取った場合は、早めに売却を検討することが望ましいです。
◇将来の相続時に相続税を払う資金が不足している場合
将来的に親から預貯金や不動産を遺産相続する場合、相続財産には相続税がかかります。日本では、相続財産の総額が多いほど税率が高くなる累進課税制度が採用されています。そのため、相続財産が多いと多額の相続税を納める必要があります。
さらに、相続税は原則として相続開始日から10ヶ月以内に現金一括で支払わなければならないため、納付額を用意できない場合は、生前贈与で譲り受けた不動産を売却し、納税資金を確保することが重要です。
◇将来の相続時に遺産分割がしにくい場合
生前贈与で不動産を譲り受けた人が亡くなると、その不動産は相続財産に含まれます。子どもが複数いる場合、遺産を分割して子どもたちで分ける必要がありますが、不動産は遺産分割が難しいため、将来的に遺族間でトラブルが生じる可能性があります。
そうしたリスクを避けるためにも、不動産を売却して現金化しておくことが望ましいでしょう。
生前贈与された不動産を売却するメリット・デメリット
生前贈与された不動産を売却するメリットは、相続トラブルの回避、売却資金の活用、贈与の特例の利用です。一方、デメリットには贈与税が高額になる可能性や、次の住居の確保が必要になることがあります。売却の選択肢を慎重に考えることが大切です。
◇生前贈与された不動産を売却するメリット
生前贈与された不動産をそのまま保有していると、あなたが亡くなったときに相続財産として扱われます。不動産は遺産分割が難しいため、子どもが複数いる場合には遺産分割協議でもめる可能性が高くなります。事前に不動産を売却し現金化することで、将来的な相続トラブルを避けることができます。
また、利用目的もなく不動産を保有していると、税金などの支払いが続くだけです。売却すれば、その資金を有効に活用できます。例えば、老後の資金や病気の治療費、生活費に充てることが可能です。
さらに、不動産を売却して現金化すると、贈与の特例を利用できます。この特例により、2,500万円までの生前贈与には贈与税が非課税となり、相続時に他の相続財産と一緒に相続税が課税されます。この制度を利用することで、子や孫への大きな贈与が可能になり、次世代の経済活動に役立てることができます。
◇生前贈与された不動産を売却するデメリット
相続時精算課税制度を利用すると、毎年110万円の贈与非課税枠が使えなくなります。そのため、子や孫に贈与を行う場合、贈与税の税率が相続税の税率よりも高くなる可能性がありますので注意が必要です。
また、生前贈与された不動産に住んでいる場合、その不動産を売却すると新しい住居を探さなければなりません。引っ越しや新居の確保に手間がかかるため、不動産売却はデメリットになることもあります。
静岡県で生前贈与された不動産を売却する際にかかる税金
◇譲渡所得
譲渡所得とは、保有する資産の譲渡で得られる利益のことで、この場合は不動産の売却利益を指し、この売却利益に対して所得税・住民税が課されます。譲渡所得には計算方法があり、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用、特別控除額を引いたものが譲渡所得です。
譲渡収入金額というのは、不動産を売却した金額のことで、そこから不動産を取得した際にかかった費用、譲渡した際にかかった費用(この場合は売却する際にかかった費用)、特別控除額を引いていきます。譲渡所得に対する税率は、不動産の所有期間などで変わり、その期間が長いか短いかで税率が異なるのが特徴です。所有期間が5年を超えると税率が下がり、5年以下の場合は税率が高くなっています。
◇無償で受け取った土地の取得費
譲渡所得を計算する際に必要となる取得費ですが、生前贈与など無償で不動産を取得した場合はどうなるのでしょうか?結論から申し上げますと、仮に無償で不動産を取得した場合であっても、取得費が0になるわけではありません。取得費には、贈与者がその不動産を購入した際の代金や所有権移転登記費用、不動産取得税などが含まれるため、贈与者が土地を購入した当時の取得に関する記録がないか確認しておきましょう。
譲渡所得は、不動産を売却した際の利益を指し、譲渡収入金額から取得費、譲渡費用、および特別控除額を差し引いた金額です。
この所得は、所有期間によって税率が異なります。具体的には、所有期間が5年を超える場合、適用される税率が低くなるため、長期間保有することで税負担を軽減することが可能です。
また、生前贈与で取得した土地の場合、取得費がゼロにはならず、贈与者が購入した際の費用が引き継がれます。これは、贈与によって取得した資産に関しても、元の所有者の購入価格が譲渡所得の計算に影響を与えることを意味します。
このように、譲渡所得の計算や税率は、所有期間や取得方法によって異なるため、売却時には注意が必要です。
特に、不動産の贈与を受けた場合、その取得費の扱いを理解しておくことが重要です。これらの要素を考慮することで、譲渡所得税の負担を適切に管理し、最適な売却タイミングや方法を選ぶことができるでしょう。