不動産売却でかかる税金とは?節税方法についても解説
公開:2024.07.22 更新:2024.07.22不動産売却時には印紙税、登録免許税、譲渡所得税、住民税が発生します。印紙税は契約金額に応じ、登録免許税は登記時に収入印紙で納税します。
売主はローン完済後の抵当権抹消登記や住所変更登記も必要です。譲渡所得税は売却益から経費を差し引いた額に約20%の税率が適用されます。
目次
不動産売却の手続きにかかる税金
不動産売却では、さまざまな税金が発生します。しかし、不動産売却が初めての方はどんな税金が発生するのか分からない方も多いかもしれません。これから静岡県内で不動産売却を検討している方は、売却で発生する税金をしっかり把握しておくのが重要です。
◇印紙税
印紙税とは、不動産の売買契約書など課税文書にかかる税金のことです。書面に収入印紙を貼り、消印することで納税が完了します。
税率は契約金額によって変動するのが特徴です。例えば100万円以上500万円以下の場合は本則税率が2,000円、軽減税率は1,000円ほど納めなければなりません。契約金額が上がるのと比例して、本則税率・軽減税率も上がります。
◇登録免許税
登録免許税とは、不動産売却時に登記を申請する際に発生する税金です。司法書士の報酬や書類の取得費用と共に請求されます。登録免許税を納税する際は登記申請時に収入印紙を貼って納税が可能です。また、登記事項がある場合、売主・買主の双方に支払い義務があります。
売主の場合、住宅ローンの抵当権を設定していて売却した資金でローンを完済した際は抵当権抹消登記が必要です。その他、登記簿に登録されている所有者の住所が古い場合、住所変更登記も必要となるため、売却する前に確認しておかなければなりません。
不動産売却で利益が発生したときにかかる税金
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不動産売却では、売却後にも税金を支払わなければならないケースもあります。その税金というのが譲渡所得税と住民税です。
この2つの税金は、不動産売却で利益が出た場合のみ支払わなければならないもので、利益が出なかった場合、支払い義務はありません。
◇譲渡所得税
譲渡所得税とは、売却して得た利益から経費を差し引いたものです。譲渡所得税は売却金額-購入金額-経費で算出できます。また、利益から差し引ける経費は、売却時の仲介手数料・売主負担の印紙税・取り壊した場合の取り壊し費と決まっています。そのため、固定資産税・管理費・修繕費などは経費に含まれません。
譲渡所得税にかかる税金の税率は、約20%(復興所得税を含むと20.315%)ほどですが、所有期間が5年未満の場合は約40%まで増えてしまいます。この所有期間は、きっちり5年というわけではなく、売却した年の1月1日時点で5年経過しているかで判定されるため、注意が必要です。
売却する不動産が相続または贈与されたものの場合、前の所有者の所有期間が引継がれます。相続した不動産の所有期間は、前の所有者が購入した時点からカウントされるため、不明な場合は税理士・税務署など専門機関への確認がおすすめです。
◇住民税
譲渡所得税の他に発生するのが住民税です。ただし、住民税も譲渡所得税と同様に利益が出た場合のみ発生します。住民税・所得税は譲渡所得×税率(20%または40%)で算出が可能です。
不動産売却時の節税方法とは?
不動産売却の際はさまざまな税金を支払う必要があり、金額も決して安いものではありません。以下の4つの方法で節税ができます。
◇購入時の価格がわかる資料を用意
節税する方法のひとつ目は、購入時の価格が記載されている資料の用意です。
購入時の価格は売買契約書に記載されていますが、この書類がなく取得費が不明な場合は概算取得費というものを用いて算出します。概算取得費は譲渡価格の5%とされており、これを用いてしまうと譲渡所得が高くなるため、その分税金を多く払わなくてはなりません。
しかし、どうしても売買契約書が見つからないという場合もあるでしょう。その場合は、下記の方法で取得費を調べられます。
・購入時に仲介してくれた不動産業者・売主から売買契約書の写しをもらう
・販売ディベロッパーから売買契約書の写しをもらう(新築の場合)
・住宅ローンの金銭消費賃借契約書・抵当権設定額・通帳の出金履歴から購入額を推測する
・市街地価格指数から土地の取得費を算定する
・着工建築物構造別単価から建物の取得費を算定する
◇控除や特例を利用
控除や特例の利用も節税につながる方法です。不動産売却で利用できる控除・特例は次のようなものがあります。
・マイホームを売却した際の軽減税率の特例
・被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
・特定の居住用財産の買い換えの特例
・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
それぞれの特例には条件があるため、売却する不動産に該当するか確認しておくのが重要です。
◇ふるさと納税を利用
ふるさと納税を活用するのも節税につながります。そもそもふるさと納税とは、自治体へ寄付して所得税の還付、住民税の控除が受けられる制度のことで、返礼品ももらえるのが特徴です。寄付できる金額に上限があり、その年の所得によって変動します。
ただし、ふるさと納税は不動産を売却した年の12月31日までに寄付しなければなりません。
◇売買契約書を1通に減らす
売買契約書を一通に減らすのも節税する方法のひとつです。一通に減らすことで印紙税を節約できます。
一通のみの場合、一方が契約書の原本、もう一方が写しを所持しておかなければなりません。当事者の人数分の契約書を作成しなければならないルールはありません。しかし、トラブルにつながる可能性があるため、あまりおすすめできない方法です。
不動産売却にかかる税金は複数あります。まず、印紙税は売買契約書に貼る収入印紙によって納税し、税額は契約金額によって異なります。次に、登録免許税は登記時に発生し、収入印紙で納税します。売主はローン完済後の抵当権抹消登記や住所変更登記も必要です。
売却利益に対する税金として、譲渡所得税と住民税があります。譲渡所得税は売却益から経費を差し引いた額に約20%(所有期間5年未満で約40%)の税率が適用されます。
節税策として、購入時の価格資料の用意、控除や特例の利用、ふるさと納税の活用、売買契約書を一通に減らす方法があります。