空き家はどう取り扱うべき?空き家を所有するリスクと不動産売却方法
公開:2024.12.13 更新:2024.12.12日本では空き家が増加傾向にあり、その主な原因は高齢化や相続問題で、高齢者の施設入所や転居後に空き家が発生しやすい状況です。空き家放置による害獣発生や犯罪リスク、資産価値の低下などの問題も指摘されています。空き家対策として、家族で処分方針を早めに話し合い、売却や賃貸を検討することが推奨されます。迅速な売却は資産価値を守るために重要で、不動産買取なら短期間で処分が可能ですが、市場価格より安くなる点に留意が必要です。
目次
空き家の件数と空き家が増え続けている主な理由
我が国の空き家は年々増加傾向にあり、高齢化が進んでいることで今後も増加していくことが予想されます。特に交通面でアクセスの難しい地域などでは、空き家の管理が行き届かず空き家率が急増していくでしょう。
◇空き家の件数は増加傾向
2023年10月1日時点における日本の総住宅数は6502万戸であり、2018年と比較すると4.2%にあたる261万戸が増加しています。この総住宅数のうち、2023年における空き家は900万戸と13.8%を占めており、大きな社会問題であることがわかるでしょう。
また2018年の空き家数は849万戸、空き家率は13.6%であることから、5年間で空き家数51万戸、空き家率0.2%も上昇しています。
◇空き家が増えている理由
近年日本の抱える高齢化の進行とともに空き家率も上昇傾向にあります。特に不動産を所有していた高齢者が老人ホームなどの施設に入所したり、子供との同居や高齢者住宅へ転居したりすることで空き家が発生したりすることも少なくありません。
今後、団塊世代が高齢化するにつれて、空き家も大幅に増加すると予想されています。さらに、空き家が減少しない背景には、所有者が法律や税制、または物理的な問題を抱えているケースが多いことが挙げられます。
空き家問題の解決に向けては、相続の複雑さや所有者が遠方に居住しているといった理由から、多くの所有者が処分に踏み切れない状況が続いています。
空き家を放置しておくと害獣が発生する可能性も
空き家を放置し続けると倒壊や税金の増加のリスクだけでなく、害獣や害虫の発生や犯罪リスクなども生じます。資産価値も大きく下がる可能性があるため、注意が必要です。
◇特定空家に指定される
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、特定空家とは以下のような状態が認められる空き家を指します。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
放置された空き家が自治体によって「特定空家」に指定され、勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、結果として多額の税金を負担する必要が生じるため注意が必要です。さらに、勧告後も不動産の状況が改善されず、自治体から命令を受けたにもかかわらず従わなかった場合、最大で50万円以下の過料が科される可能性があります。
◇害獣や害虫が大量発生する可能性がある
清掃やメンテナンスをされることなく放置され続けた空き家にはねずみなどの害獣や害虫が住み着いてしまうこともよくあります。そして害獣や害虫が増え続けることで不衛生な状態となり、地域へ悪影響を与えてしまう可能性もあります。
さらに、衛生面で汚いと判断されることは資産価値を大きく下げることにも繋がるため、注意が必要です。
◇放火や不法投棄のリスクが高まる
適切な管理が行われず、長期間放置された空き家は、人の目が届かないことから、一般的な建物よりも犯罪のリスクが高まります。特に放火は、近隣への延焼の可能性があり、非常に危険です。また、不法投棄が繰り返されると、景観に悪影響を与える恐れがあります。
◇犯罪に巻き込まれる可能性がある
空き家は、不法侵入を目的とする犯罪者にとって狙われやすい存在です。住人がいないため、周囲から侵入が気づかれにくく、施錠されていても窓を破られて侵入されることがあります。このような不法侵入が繰り返されると、地域の治安が悪化する原因となるリスクも高まります。
空き家は不動産売却も検討!空き家の適切な管理とは
空き家をめぐるトラブルを防ぐためには、親が元気なうちに、不動産の処分について具体的な方針を家族で話し合うことが重要です。その際には、売却を含めた選択肢を視野に入れ、早めに計画を立てることが大切です。
◇家族で方針を決めておく
空き家が発生する主な原因として、相続が挙げられます。家族が住んでいた思い入れのある不動産を処分するのは簡単なことではありません。特に、親の生前に不動産の今後について話し合っていない場合、相続人にとって処分に対する心理的なハードルはさらに高くなる傾向があります。
そのため、親が相続対象となる不動産を所有している場合は、生前に話し合いを行い、相続後に誰が住むのか、売却や賃貸、解体といった処分方針を明確にしておくことが重要です。
◇空き家を賃貸にする
建物は人が住むことで維持しやすくなるとされています。そのため、空き家を相続したものの住むことが難しい場合は、放置するのではなく賃貸に出すことを検討してみましょう。賃貸にすることで、建物を手放さずに所有し続けられ、新たな収入源として活用することも可能です。
◇空き家を売却する
賃貸として活用することも選択肢の一つですが、借り手が見つからない場合や維持費の負担が懸念されることもあります。例えば、建物のメンテナンスや掃除、換気などの維持管理には費用がかかり、さらに固定資産税や都市計画税も発生します。
こうした経済的な負担を軽減する手段として、空き家を売却するのも有効な選択肢です。売却すれば、維持費や税金の負担から解放され、資金を有効活用することができます。
空き家をスムーズに売却するためのポイント
不動産売却をスムーズにするためには、なるべく早く売却を行い、仲介による売却が難しい場合には不動産買取や建物を解体した上で土地を売却することを検討すると良いでしょう。こちらでは、静岡県で空き家売却をご検討中の方のために、空き家をスムーズに売却するためのポイントを詳しく解説いたします。
◇できるだけ早く売却する
空き家を長期間放置すると、建物の劣化が加速し、老朽化が進むことで見た目も悪くなり、買い手を見つけるのがさらに難しくなります。その結果、建物の資産価値が大幅に低下してしまう恐れがあります。
このような事態を避けるためには、空き家が発生した際には早めに売却を検討することが重要です。迅速な対応が資産価値を守るカギとなります。
◇不動産買取を依頼する
不動産買取を利用すれば、最短で3日から1週間程度という短期間で不動産を処分できます。この方法では、売却益が出た際の譲渡所得税以外に仲介手数料が発生しないため、コスト面でもメリットがあります。また、仲介では売却が難しい物件や築年数が古い物件でも買取が可能で、原則、契約不適合責任を負う必要もありません。
ただし、不動産買取は市場価格の70%〜80%程度で取引される場合が多く、地域によっては買取業者が少ないケースもあるため、事前に調査しておくことが大切です。
◇建物を解体して売却する
老朽化が進んだ空き家の場合、建物を解体して更地として売却するほうが買い手が見つかりやすくなることがあります。更地にすることで新築を検討している買い手にとっても魅力的な選択肢となり、売却がスムーズになります。
また、売主にとっては解体することで契約不適合責任を負う必要がなくなる点もメリットです。しかし、解体すると固定資産税の「住宅用地の軽減措置」が適用されなくなり、土地の固定資産税が跳ね上がるリスクがあります。そのため、解体を検討する際には税務署や税理士に事前に相談することをおすすめします。
日本では高齢化や相続問題を背景に空き家の増加が深刻化しており、2023年には空き家が900万戸、総住宅数の13.8%を占めています。特に高齢者が施設に入所したり転居したりすることで空き家が発生し、所有者が処分に踏み切れないことが問題の一因となっています。
このままでは団塊世代の高齢化に伴い、さらに空き家が増加すると予想されています。
放置された空き家は害獣や害虫の発生、犯罪リスク、資産価値の低下を招き、自治体による「特定空家」の指定を受けると固定資産税の優遇措置が失われることもあります。そのため、空き家問題を解決するためには、親が元気なうちに不動産処分の方針を家族で話し合い、売却や賃貸を検討することが重要です。
売却を選ぶ場合、空き家を早期に処分することで建物の劣化や老朽化による資産価値低下を防げます。不動産買取では迅速な売却が可能で、契約不適合責任を負う必要がなくなるメリットがありますが、市場価格の50~80%程度での取引になる場合が多いため注意が必要です。
また、老朽化が進んだ場合は建物を解体し、更地として売却する方法も有効ですが、解体による固定資産税の増加リスクを考慮し、事前に専門家へ相談することが推奨されます。
総じて、空き家問題に取り組むには、迅速な行動と十分な事前準備が求められます。これにより、空き家の放置による地域や資産への悪影響を最小限に抑えつつ、所有者にとって最適な解決策を見出すことが可能です。